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学術フロンティア推進事業(2003〜2008年度)
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学術フロンティア推進事業5年間の研究をおえて
~各部門長の声~
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○研究代表:福留強(生涯教育文化学科教授・生涯学習研究所長)
平成15年に選定された、文部科学省の私立大学高度化推進事業・学術フロンティア推進事業の「生涯学習の観点に立った『少子・高齢社会の活性化』に関する総合的研究」は、平成20年3月をもって5年間の研究事業を終了した。
研究テーマにおける「少子社会」も「高齢社会」も、わが国が当面する最大の国家的課題の一つである。この研究は、この解決方策を探ろうとするものではない。現状を把握して、認識し肯定しつつ、その条件の中で、当面、「生涯学習の観点から」何をすればよいのか、効果的なのかを総合的に考えようとするものである。
それも聖徳大学が有する独自の資源(人的、大学の機能的)、地域(関東、千葉県、松戸市)が有する教育資源、所与の条件を総合的に活用して、何らかの効果を「活性化」という視点で研究しようとするものである。しかも、その基盤となる施設設備を整備しつつ、その活動の一環として、その機能を活用しながら研究するという、きわめて独自のプロジェクトであったのではないかと思われる。
この研究に当たっては、大学の機能を効果的に生かそうとしたことと、近接する全国規模のNPO法人との連携をはじめ、各種の機関との連携により、大規模の研究組織も比較的バランスよく動いたのではないかといわれている。
研究には、基本的に、テーマに関する「研究」するという部分と、実用化、あるいは「試行」し、「修正」し、最終的には「活用」や「成果が普及」するという部分を、最終目的としている。
研究に参加した人は、補助者を含めると約100人はいるものと思われる。しかし、研究のための人的な条件は必ずしも十分ではない。事務局スタッフは、1名であり、5年間で延べ回数300回超の打ち合わせをしたが、その展開だけでもかなりの仕事量であった計算になる。生涯学習研究所の助手以下、ボランティアスタッフなど、信じられないほどのすばらしい力と熱意に恵まれたものである。とても記録には顕われない、残しきれない状況であり、大きな資産を得たものと思っている。まさに、「寝てもさめても」、この研究テーマを追い続けたが、実感としては、予定の5割に達していないという感想である。
十分に取り組めない分野もあった。大学の組織、研究者の変更、団体の状況等、様々な条件から、取り組み不十分なものもあり、満足していないうえ、実施しても報告書に十分に表現されていない部分などが多くある。
とはいえ、今後、この研究の成果は、全国的に広がる部分が多いと思われる。「創年」「子どもをほめる運動」「生涯学習社会貢献センター」さらに、これから生まれた新しい「資格」など、多くの研究資料とは別に、確実に社会に広がっている。
5年間で、研究冊子40点、市販書籍5点を発行。聖徳大学生涯学習フォーラム5回、全国各地で開催した研究大会、フォーラムなど15回、そのほか自治体との協力事業、推進大会など、延べ参加者はゆうに1万人を超えている。
「学フロ」のプロジェクトはある意味では、これからのプロジェクトである。学術フロンティアの研究期間は終了したが、今後も生涯学習研究所を拠点に研究を継続することになる。生涯学習の研究を深め、更に研鑽をつんでゆきたい。
○第1部門 部門長:塩美佐枝(児童学科教授)
第1部門は「少子社会における地域システムの研究」として、父親の育児参加、中・高校生の育児体験のあり方、保育の長時間化を踏まえた保育環境のあり方、子どもの食生活等について研究グループを構成して研究を進めた。
父親の子育て参加が進んでいない理由は父親の意識問題ということより、働き方生きかたの問題であり、ワーク・ライフ・バランスの推進の重要性がとらえられた。
また、育児不安の解消の方法として、中・高校生の育児体験が効果的で、子育てのイメージが体験後には好意的になることがとらえられた。
保育時間の長時間化は、幼児の疲労等が懸念されている。保育環境の工夫が各施設でなされており、資料としてまとめた。
食育の研究では、休職や弁当の実態、食事の指導内容の調査や園における食教育の実践についてまとめた。
本研究は、少子化にかかわる課題解明を目指したものである。複数の課題をグループで分担し、5年間実施した計画である。研究の当初、研究課題は社会的にそれほど意識されていないものであったが、五年間のうちには次第に課題として認識されるようになり、社会的問題として取り上げられるようになった。課題の設定は時代を読んでいたといえる。
本研究が、地域システムの構築に役立つよう、今後も取組を続けていきたい。
○第2部門 研究員:有働玲子(児童学科准教授) (部門長:夏秋英房(元児童学科准教授))
第2部門の特色としてそれぞれの、独立研究としてまとまりをもっていたということがある。
それは、各個人研究としての形を伴っているものの、総合的な枠にはおさまり、全体が有機的な関連性を維持していた。具体的にはある特定地域の調査研究の形式を保つもの、ある時にはワークショップを伴うような行事の体裁を伴うもの、さらには海外の理論的な研究をともなうもの、など、多種多様な形態を示した。
それらを研究機関という物差しで、計ってみるならば、まるで万華鏡のようにさまざまな色合いを持っていることがわかる。
本研究に参加させていただく機会を得て、心より御礼を申し上げる次第である。
○第3部門 部門長:宮坂いち子(英米文化学科教授)
我々の研究は「高齢者の生きがい対策と人材活性化に関する研究」であった。そのためにまず、50代から70代という年齢層の多い聖徳大学の生涯学習で学ぶ受講生1000人を対象に彼らの生きがいの調査を行った。主婦を中心に退職した男性たちも、学ぶこと、友人関係が築けた事に大きな満足感を持っていた。次いで定年退職前に、退職後の生き方の準備教育がどのように行われているか従業員約4500人の会社の50歳セミナー、55歳セミナー、60歳セミナーのプログラムと退職OB660人へのアンケートと面接調査を行った。健康保険、介護保険、年金といった実際的講話や退職後の心と健康の話、地域社会への参加・ボランティア活動等に意義を見出している退職者達の実態が把握できた。
2007年から始まる団塊世代の大量定年退職者の生きがい対策を中心に研究を進めるのが我々第3部門の研究であった。彼らの生きがいは趣味や教養、学習、起業、社会奉仕等の何かを研究をすることであったが、年金受給資格の65歳までの定年延長者が増えたため、大量退職時代は5年後の2012年問題となってしまった。彼らの動向が5年先に伸びたことにより、我々の研究もまだ先が長いものとなったと感じている。
○第5部門 部門長:清水英男(生涯教育文化学科教授)
第5部門は、少子・高齢社会などの現代的課題に対処する生涯学習の指導者の養成と活用の方策を明らかにすることを目的とし、3つのプロジェクトを編成し研究に取り組んだ。その年度毎の究成果を報告書として纏めた。平成19年度は、5年間の研究成果が広く活用されるようプロジェクト毎に「総集編」を作成した。成果は、以下の通りである。①大学における生涯学習に関する学部や学科等の課題や地方公共団体が卒業生に期待している資格修得と資質・能力などを把握し、4年制大学のカリキュラム(試案)を編成した。②生涯学習の指導系非常勤職員の現状と課題などを把握し、社会教育指導員の初任者研修に関するプログラムとテキスト(試案)を作成した。③短期大学のコミュニティ・カレッジ機能について、その現状と課題などを把握し、今後のあり方を提言した。④研究の継続・拡充策として、全国生涯学習指導者養成と活用に関する研究協議会を創設した。
また、実証的な研究を心がけた。それは、生涯学習や社会教育は、「先ず先導的・モデル的な事業があり、それを研究することで新たな理論ができる。」からである。このような観点から、調査を幅広く実施した。この研究の成果は、市町村や関係大学、団体などの方々が、これらの調査・研究を快く引き受けていただいたからこそ得られたのである。
本研究にご協力いただいたすべての関係者に心から敬意を申し上げる次第である。



研究員紹介.pdf